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古上織蛍の日々の泡沫(うたかた)

歴史考察(戦国時代・三国志・関ヶ原合戦・石田三成等)、書評や、        日々思いついたことをつれづれに書きます。

大河ドラマ 『真田丸』 第18話 「上洛」 感想

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※前回の感想です。↓

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真田丸』第18話「上洛」 感想です。

 

 前回を「ダメダメ回」として、その後保留にしましたが、やっぱりダメダメですね。次回以降、仮にどんでん返しがあったとしても筋的に無理があるので、もうアウトです。

 

 正直、よく分からん伏線(らしきもの)自体は、ばらまかれるのが三谷氏の脚本なのですが、伏線というのは回収されれば見事な脚本になりますが、回収されなければ中途半端な脚本になります。そして、伏線と思ったのが別に伏線ではないというのがこの回で分かりました。

 

 今回、上杉が真田のことを取り成して、(史実ではあったか知りませんが)わざわざ直江兼続が真田に出向いて上洛を促す描写がありました。また、三成が信繫を通して直臣大名として取り立てるというのを約束する描写もありました。こういうのも以前ならば(昌幸が上杉や三成を通して水面下で交渉していたという)伏線と思う訳ですが、実際には多分三谷氏がこの間の(史実の)昌幸の動きが理解しきれず、「いや、ちゃんと歴史資料は見ていますよ」という言い訳を羅列しているにすぎないのですね。

 

 多分、三谷氏の中では「以前策士だった男が、いつの間にか時流を読み切れず、時代に取り残される」という悲哀をどうしても書きたくて、それが最初の前提にあるので、そういう書き方以外はできないのでしょう。どうしてもそういった人物を書きたいなら、自分のオリジナルキャラクター、オリジナルストーリーで書けばよい話です。フィクションの話を作り上げてでも歴史上の実在の人物に自分の書きたい人物を勝手にあてはめるというのは、歴史上の人物に対する侮辱です。

 

 結局、三谷氏は真田昌幸という実在の人物の思考が読み切れなかったのでしょう。これだけ時代考証担当が様々なヒントを与えてくれながら、ついに三谷氏は昌幸の思考を読み解くことができず、昌幸という人物の構築に失敗しました。このドラマの昌幸は痛々しいですが、実際に痛々しいのは真田昌幸という人物を描くことに失敗した三谷氏自身です。

 

 ということで、もはや歴史ドラマとして史実に挑むことに脚本としては失敗したとしか言いようがないため、このドラマはこの18話の時点で「失敗」といってよいでしょう。まあ、視聴率的には好調らしいので、そういった意味では「成功」なのでしょうが。

 

 もうこのドラマは、本当は見たくもないですが(最初期待していただけ、失望も激しい)この後、この脚本家がどんな嘘八百を並べて、視聴している人がそれを「史実」として信じてしまうかわかりませんので、ウォッチする意味で見ていきたいと思います。今後はドラマと史実が違う部分に絞ってエントリーを書いていきます。

 

 さて、今日の三成くんです。もう三谷氏は史実の三成をこのドラマで書く気は全くないことが分かりましたので、まあ、同じ名前の虚構のキャラクターだと思うしかありません。というか、江戸時代に伝わる逸話(これも虚構であることに変わりませんが)よりも酷い扱いをされているのは絶句です。なんか関係者のインタビューで「今回の三成は良く描く」みたいな話があったのはなんだったのでしょう。どうしようもありません。

 

 三成の逸話で「季節外れの桃」という話があります。以前、以下のエントリーで紹介しました。

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 この話自体、江戸時代に作られた三成の性格を貶める虚構の逸話と私は思っていますが、このドラマの三成はその江戸時代の逸話以下のただの無礼な奴にすぎません。

 

 仮に、この「季節外れの桃」の逸話の性格の三成が、このドラマと同じシチュエーションで言動するならばどうなるでしょうか?以下に想定します。

 

*                  *                 *

 

 真田家からの献上品を改める三成。一番目立つところに毛皮が置いてある。はっきり言って臭い。後ろを見ると昌幸が自信満々の目で自分を見ている。おそらく、信濃では相当な贅沢品なのであろう、と三成は思った。

 

 三成は信幸の方に向かって言った。「中々見事な毛皮でござる。都や大坂でもこのような見事な毛皮は見たことがない。しかし、いささか臭いがきついゆえ、この臭いを公(秀吉)が御不快に思われてしまえば、真田家の聞こえが悪くなりますし、せっかくの真田殿の心遣いも無駄になりましょう。ゆえにこの毛皮は献上品の目立たぬ所におき、後日私が公に臭いのこともご説明の上、差し上げることにいたしましょう」

 

 *                  *                 *

 

 という感じになるでしょう。(まあ、「季節外れの桃」に忠実ならば返すことになりますが。ドラマでは目立たぬ所に押し込む話になりましたのでこうしました。)江戸時代の性格が悪いことにされている逸話の三成でさえ、このドラマのような無礼なまねはしません。三谷氏の三成描写は江戸時代の軍記物作家以下です。

 

※以下のエントリーで、「真田昌幸はなぜ、上洛を延引し続けたのか?」について考察してみました。

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※次回の感想(ではない)です。↓

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