古上織蛍の日々の泡沫(うたかた)

歴史考察(戦国時代・三国志・関ヶ原合戦・石田三成等)、書評や、        日々思いついたことをつれづれに書きます。

大河ドラマ 『真田丸』 第31話 「終焉」 感想

(※平成28年8月11日追記しました。)

 

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※前回の感想です。↓

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 大河ドラマ 『真田丸』 第31話 「終焉」 感想を書きます。

 

 今まで見てきて思ったのですが、このドラマは「大河ドラマ」ではないな、と思います。「小川ドラマ」ですね。

 

 五大老五奉行と言いつつ(いや、五大老ではなく五人の老衆(おとなしゅう)か。(五大老というのは江戸時代以降の呼称で、当時はありません。こういう細かいどうでもいい所だけはお金がかからないから、このドラマではこだわります。))、出てくるのは、家康と三成だけ、上杉景勝は史実で会津にいるから仕方ありませんが、前田利家毛利輝元宇喜多秀家慶長の役から帰国しているはず)はどこへ行ったのでしょう。それで、今後の流れをどう描くのでしょう。

 

 今まで「信繫が見ていないことは、描かなくてもよい」というエクスキューズがありました。しかし、官兵衛の小田原開城交渉の不在でこの法則は危うくなり、今回三大老(先程も述べたとおり、景勝は不在なのは史実通りです)及び四奉行の不在はやはりただ単に「省エネ・小川ドラマ」だったに過ぎないというということが分かります。

 

 三成の他の四奉行はどこにいるのでしょう。彼らは、今後も出てこなさそうですが「内府違いの条々」クーデターは一体誰がやるんでしょう?(毛利輝元も出てこないようですし)やっぱり史実を無視して、佐和山城から三成がワープするんですかね?(*追記1参照)

 

 いや、チープなB級ドラマなら、これでいいでしょう。しかし、これが日本の歴史ドラマを代表する「大河ドラマ」なのか?あまりにも「人がいなさすぎる」のです。これは脚本家の責任というより、こんな省エネでしか出演者を揃えられないNHKの責任でしょう。「いや、スタッフも大変なんだよ」と同情している場合ではありません。心あるスタッフだって同じことを思って情けない思いをしているかもしれません。むしろ、視聴者が「人少な過ぎ、手抜き過ぎ」と抗議の声を上げていくことが、予算獲得の道筋につながるのではないでしょうか。

 

(追記1:大河ドラマのNHKのHP

http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/cast/index12_05.html#mainContents 

を見ると毛利輝元は今後出演するみたいです。これで、「五人の老衆」はとりあえず全員配役は揃いましたが、出てくるのが遅いですね。前田利家毛利輝元宇喜多秀家はこの時期伏見にいたと思いますので、利家くらいは今回出してもよかったと思います。

 四奉行のうち、長束正家は出演するようです。増田長盛じゃないんだ・・・・・・。「内府違いの条々」クーデターの時は正家が大坂城で条々を発出するのでしょうか。

 島左近出るんだ・・・・・。出ないかと思ってました。(出るならもう少し早く出るだろうと思ってました・・・・・。)

 とりあえず、32話以降は人は揃えてきてますね。もう少し早い回から出て欲しかったキャラクターが色々いますが・・・・・・。)

 

 家康が押し入って秀吉に無理矢理に遺言を書かせるのもフィクション、三成が秀吉に無理矢理書き直させるのもフィクション、三成が真田昌幸に家康に暗殺を依頼するのもフィクション、出浦昌相が常に昌幸の側にべったりいて、思いっきり顔バレしているにも関わらず、素顔を晒して家康を暗殺しようとするのもフィクション、死にかけているのに不寝番する者もいず秀吉が孤独に死んでいくのもフィクション(且元が寝ていたという話にしていますが、且元しかいないというのが不自然)、いや、別にフィクションであったっていいのですよ。しかし、そもそもフィクションとしても現実的に有り得ないだろ、という描写の連続な訳です。これも天下人秀吉のそばに、非現実的にあまりにも人がいなさすぎなのです。これで、何を感じろというのか全く不明です。

 

 遺言状を巡るドタバタ劇は、三谷氏オリジナルのコント(寸劇)なら、まあ面白いです。昌相VS忠勝もゲーム『戦国無双』(昌相は出てきませんが)なら面白いでしょう。ただ、これは「大河ドラマ」なのであって、コントやゲームじゃないんです。「大河ドラマ」という大きな骨太な流れがあって、歴史コントや歴史ゲームも映えるというものでしょう。「大河ドラマ」自体がコントと化したのでは、大河の流れはなくなり、全ての歴史ドラマは小川となってしまいます。

 

 ある意味、今回は「大河ドラマ」が「終焉」し、すべては「小川ドラマ」になった回ということなのかな、と思います。

 

(追記2:追記1で書いたように次回以降は配役は増えるようなので、その点は良かったですが、今回(31回)に関しては、いるべき人がいない、人少なすぎ、非現実的な展開、というのは変わらないので、感想はこのままにしておきます。)

 

(追記3:大河ドラマのNHKのHPで気になるのは、相関図で北政所→家康は「信頼」なんですね。北政所が東軍(家康派)だったというのは昔の俗説で、近年は西軍派だったという見解が主流だと思うのですが、今回のドラマでは昔の俗説通りに書くのかな、と思うとかなり不安です。

 あと、石田三成細川忠興は「連携?不信?」なのがなんか細かいですね。「七将襲撃事件」の中に細川忠興が入っているので、一般的には「連携?」というのはないと思われていますが、実際には、「七将襲撃事件」前まで細川家と石田家が仲が悪かったという事実はなく、前田利家の死後の「七将襲撃事件」に忠興が参加したのは、前田派から徳川派についた方が有利だと政治的に判断したからだと思われます。

 このため、それまでは同じ「前田派」(忠興の息子が利家の娘と婚姻しており、細川家と前田家は縁戚です)といえる忠興と三成が『連携』してもおかしくない、というか利家の死までは連携していたというのが自然の流れだと思いますが、そんな細かいことを今回の大河ドラマで本当にやるのかな?という気がします。

 石田三成細川忠興については、過去に以下のエントリーで書きましたので参照願います。↓)(下のエントリーにも書きましたが『細川家譜』の記載も、あまり信用できるものではありません。)

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※秀吉の三つの遺言状について書きましたので、よろしければご覧ください。↓

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※次回の感想です。↓

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