ギリアン・フリン『ゴーン・ガール』を読んだ。
(村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』への言及があります。ご注意願います。)
ギリアン・フリン『ゴーン・ガール』(上・下)(小学館)を読みました。
この小説は、びっくり箱につぐびっくり箱という感じで、先の見えないサスペンス小説といった感じです。
上巻の裏表紙のあらすじを紹介すると以下のようになります。
「ニックは三十四歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、二年前、妻エイミーとともに故郷ミズーリに帰ってきた。しかし都会育ちの妻にとってその田舎暮らしは退屈きわまるものだった。
結婚五周年の記念日、エイミーが、突然、謎の失踪を遂げる。家には争った形跡があり、確かなアリバイのない夫ニックに嫌疑がかけられる。
夫が語る結婚生活と交互に挿入される妻の日記。異なるふたつの物語が重なるとき衝撃の真実が浮かび上がる。
大胆な仕掛けと予想外の展開、「NYタイムズ」で第一位に輝いた話題のミステリ登場。」
ただですね。この小説、作者が余りにも読者を驚かせようとするので、最初のうちは驚いていてもだんだん驚かなくなって最終的に「あー、もうこの夫婦、勝手にせいよ」という感じになっちゃうんですね。でも面白いかといえば面白いのでおすすめです・・・・・・、と言いたい所なんですが、この小説デヴィッド・フィンチャー監督によって映画化されるらしいのですよ。(今年10月に全米公開の予定。)どんでん返しにつぐどんでん返しのストーリーは、映画の方が展開がスピーディーで中だるみがなく面白そうですし、(映画は小説とは全く異なるエンディングらしいですが)こういう映画はストーリー知っていると楽しさ半減だと思うのですね。ということで、原作も映画も見るのであれば先に映画を見ることをおすすめします。
なぜ今読むことをおすすめしない小説の紹介を延々としているかというと、この小説の夫の回想シーンで、旅行中に妻が『ねじまき鳥クロニクル』を読んでいるシーンがあるのですね。なんで、唐突に『ねじまき鳥クロニクル』って思ったのですが、よく考えてみると『ねじまき鳥クロニクル』は妻が失踪する話で、この小説も妻が失踪する話なので登場してくるわけです。こういう「小道具」の使い方も面白い小説だなと思いました。