古上織蛍の日々の泡沫(うたかた)

歴史考察(戦国時代・三国志・関ヶ原合戦・石田三成等)、書評や、        日々思いついたことをつれづれに書きます。

横溝正史『獄門島』感想(ネタバレあり)

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 横溝正史獄門島』(角川文庫)を読了しました。なんで、そんな昔の推理小説を読んでいるんだ、という話ですが、日本推理作家協会編著『ミステリーの書き方』(幻冬舎)という本で、複数の作家がこの小説を激賞していましたので、そこまで褒められているのなら読んでみようと思って読みました。

 

 この小説は、確かにミステリーの教科書のような本です。ちりばめられた伏線(横溝先生はサービス精神旺盛で、さりげなく伏線を張るのではなく、「ここ怪しいですよ!」と強調してくれるので、読みやすいです。)、ミスリードも巧みです。

 しかし、読んでいて何か推理する気力・体力がなかったので、特に推理しながら読むことなく、ボーッと最後の解決編まで読んでしまいました。

 

 で、最後まで読んだ感想なのですが(ネタバレあります。犯人は書いてませんが。)、一番言いたいことは「金田一さん、連続殺人がすべて終わってから推理するんじゃなくて、連続殺人止めてくださいよ!千万太さんから頼まれたことは、殺人を止めることでしたよね?」てことですね。雪枝が殺された時は警察に閉じ込められていたから仕方ないにしても、月代の場合は、花子、雪枝が殺された後なんだから、名探偵さんなら警戒して当然じゃないの?という気がします。

 まあ、金田一シリーズは、連続殺人が最後まで起こってから金田一が事件を解決するのが最早ひとつの様式美のようになっていますので、もう仕方ないのかもしれませんが。

 

 最初の殺人の犯人はなんとなく皆さん分かるかと思います。あからさまに言動がおかしいですからね。トリックや動機は分かりませんでしたが。第二、第三、(第四)の殺人事件はよく分かりませんでした。というか、先程述べたとおり推理する気力がなくてそのまま読んでいただけですので・・・。

 解決編まで見てトリックはなかなか面白いと思いましたが、動機の方は「そんなんで殺しちゃうの?」という気分になりました。まあ、時代背景とか閉ざされた島の雰囲気とかを考慮しなきゃいけないんでしょうけど、それにしてもね・・・。

 

 総じて面白いかといえばまあ面白いのかもしれませんが、読んでいてあまり「驚き」とか「やられた!」という所がないので、同じ横溝正史なら『犬神家の一族』の方が私は好きですね。