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古上織蛍の日々の泡沫(うたかた)

歴史考察(戦国時代・三国志・関ヶ原合戦・石田三成等)、書評や、        日々思いついたことをつれづれに書きます。

【大河ドラマ 軍師官兵衛】第47話「如水謀る」 感想

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大河ドラマ 軍師官兵衛 第47回「如水謀る」を見ました。今回は今までの回の中で一番素晴らしい出来なのではないでしょうか。(といっても数回しか見てませんが・・・(笑)。)

 

*                                             *                                                          *

 

 ちょっと話は変わりますが、司馬遼太郎氏の小説というのは、取材・調査も詳細に行い、緻密に書かれているので、書かれていることがすべて史実だと思う人が続出します。氏の著作の場合、史実の描写もフィクションの描写もシームレスに書かれ、史実の中にさりげなくフィクションを混ぜ込んでくるので本当に始末に悪いです。まあ、それだけ描写が「うまい」って事なんですけどね・・・。 

 大河ドラマは、ジャンル的に「まじめな」ものと「お笑い(?)」ものに分かれていて、今年の「軍師官兵衛」は一応「まじめな」ドラマの方だと認識されていると思われます。(ちなみに「お笑い大河ドラマ」の代表は「江~姫たちの戦国」です。)そして、司馬遼太郎氏ほどではなくても、「まじめな」大河ドラマについては、視聴者は「だいたい史実なのだろう」と思って見るわけです。 

 よく、「大河ドラマはフィクションなんだし、それはみんな承知でしょ」とか言う人がいますけど、そんなことないですよ。私も別にあまり興味のない時代の「まじめな」大河ドラマとか見ると、「全部史実か分からんけど、7割くらいは史実なのかな」と思って見ています。問題は、その時代に詳しくないので、7割といってもどれが史実で、どれがフィクションか分からんことです。(あとで調べる気も面倒くさくてなかなか起きない。比較的歴史好きな私でさえそうなんですので、余程の歴史好きでない限り、ほとんどの人が調べ直さないでしょう。)結局、全体として大河ドラマのイメージが「おおむね史実」という印象で頭の中に定着してしまうのですよ。 

 かつてより視聴率は落ちたというものの、いまだに時代劇での大河ドラマの影響力は絶大です。特に大河ドラマで初めてその人物を知る人にとっては、そのファーストイメージは強力で、なかなかその刷り込まれたイメージを修正するのは困難です。 

 なので、以前より数回「軍師官兵衛」の史実からあまりにもかけ離れたひどい描写を批判してきました。これも「まじめな」大河ドラマと思ってきたからです。

 

*                                      *                                                       *

 

 しかし、今回からは違います。「暴走 軍師官兵衛」ってところでしょうか?終盤になって「お笑い(完全に史実無視という意味)」大河ドラマに切り換えてきました。(いや、「今回は」全体の流れ的なものは史実に(他の回に比べれば)比較的忠実ですよ。(あれ、前田利長どこへ消えた・・・)主人公の行動が、ということです。)

 前に、(妄想 軍師官兵衛 - 古上織蛍の日々の泡沫(うたかた))のエントリーで、どうせ史実にデタラメでやるなら、ここまでやれ!というのを聞いていただけたのでしょうか。(もうクランクアップしているから、ありえませんが(笑)。)初めからこうしていればよかったのです。 

戦国無双4」というゲームで、藤堂高虎と大谷義継との友情を描いたストーリーがあるのですが、このストーリーが、もう1から10までフィクションなのですが、それにも関わらず感動的な良い物語でした。(藤堂高虎が大谷義継の墓を建てたという故事があるのですが、おそらく、その故事から2人の友情ストーリーまで作り上げたのでしょう。) 

  やはり、フィクションはフィクションと割り切れば良いものが作れるのです。このまま最終回まで暴走してほしいです。

 

*                                        *                                                       *

 

 さて、今回のストーリー。やはり、三成と如水の対面のシーンが素晴らしいです。

 

佐和山城の広間。蟄居して剃髪した石田三成と、横に増田長盛がいる。

 

従者「申し上げます。黒田如水様が、お目通りを願っております」

三成「如水殿が・・・」

長盛「会わぬ方が良い。会えばたぶらかされるぞ」

三成「いや、会おう」

 

 やってきた如水。


三成「これはこれは、如水殿がわが城へお運びになられるとは、どういう風の吹き回しでござる」
如水「わしも隠居の身。そろそろ中津へ帰ろうと思い挨拶へうかがった次第」
三成「それはわざわざご丁寧に」
如水「良い城じゃのう・・・。この城を落とすには・・・至難の業。感心いたした」


 そして如水は切り出す。


如水「ひとつ、うかがってもよろしいか?」
三成「なんなりと」

如水「いかにして徳川殿を討つ?」

 

 ギクリとする長盛。

 三成は薄笑いを浮かべながら(「いきなりそんなぶっちゃけ話かよ・・・。いつから君と僕とはファーストネームを呼び合う仲になったんだっけ?的な感じだぜ・・・」)答える。


三成「何を仰せか。・・・そのような気は毛頭ござらぬ。そもそも某に徳川殿と張り合う力などありませぬ」

如水「志を同じくする者が集まれば別でござろう」

と言い、善助に地図を広げさせる。

(なんでそんなもの、持ってきているの・・・)

 

「例えば会津・上杉、直江兼続。おぬしとは昵懇の間柄でござろう。わしがお主ならこの男を使い上杉景勝に兵を起こさせる。さすれば徳川殿は上杉討伐のために軍を起こし東へ向かいこの大坂は空になる。その時、秀頼君を奉じて徳川討伐のために軍を起こせば・・・、挟み撃ちとあいなる。・・・これで徳川殿も、万事休すじゃ」


三成「・・・なるほど、それがしには考えも及ばぬ策でございますな」とかわず。
如水「だが、やめておかれるがよい。この策、徳川殿は既にお見通しでござろう。それ以上にあの男は事が起こるのを待っているご様子。亡き殿下でさえあの男には戦では勝てなかった。策を立てるのとまことの戦ではまるで別物じゃ」

(お前は、わざわざ地図まで持ってきて何しにきたんじゃ・・・)

 

如水「これはわしから・・・お主への・・・」と三成を指さす。

「最後の忠告じゃ」

三成は平静を装い「お言葉肝に銘じましょう。仮にそのような折が来たら豊臣家のため是非お味方頂きたい」と棒読みする。

(この返しもなかなか・・・。「どうせ味方する気なんかないくせに、しょうもないことわざわざ言いに来ただけかよ」感満載ですね。)


如水は笑いながら「わしは隠居の身。・・・失礼する」と出ていった。
如水が姿を消すと、三成は怒って、扇子を畳に叩きつけた。
「黒田・・・如水め!」

 

 上杉と三成による徳川の挟み撃ちをわざわざ佐和山まで行って、けしかける如水。(あるいは、「お前の考えていることなどまるっとお見通しじゃ」アピールですかね。)平静を装い他人事のような顔をして、その場はかわず三成。去って行った後に、挑発に激怒する三成。そしてその後、挑発にあえて乗る形で三成は決起します。もちろん、この対面シーンは完全なフィクションですし、三成の決起は家康や如水の挑発に乗ったわけでもなんでもないのですが、この対面シーンの時の岡田如水と田中三成の演技は素晴らしかったです。

 

 それにしても乱に種をまこうとする、黒田如水ドス黒いですね。黒田の勢力からいって彼がいくら頑張っても天下を取れるわけもなく、良くて第三勢力でしょう。如水が活躍すればするほど、世は乱れ、分裂し混迷が続きます。自分の老後の楽しみのためだけに策を弄し、大義もなく乱を起こす男如水。まさに世の害毒。やはり、官兵衛はこのぐらいブラックでないと映えませんね。(史実の官兵衛さんとは別物だと考えましょう。今回の大河の主人公は、ブラック田官兵衛さんです。)

*48話の感想はこちらです。↓

【大河ドラマ 軍師官兵衛】第48話「天下動乱」 感想 - 古上織蛍の日々の泡沫(うたかた)