古上織蛍の日々の泡沫(うたかた)

歴史考察(戦国時代・三国志・関ヶ原合戦・石田三成等)、書評や、        日々思いついたことをつれづれに書きます。

『僕だけがいない街』5巻 感想・考察(ネタバレです)

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(思い切りネタバレしていますので、ご注意願います。また、単行本しか読んでないので、連載部分は知りません。既に連載で解決済みだよ、という話もあるかもしれませんがご容赦願います。)

 三部けい僕だけがいない街』1~4巻の感想は以下に書きました。↓

『僕だけがいない街』1~4巻 感想・考察(ネタバレです)

 

 

 三部けい僕だけがいない街』(角川書店)5巻を読みました。以下に感想を書きます。(以下ネタバレですので、ご注意願います。)

 

 

 

 

 

 うーん、この巻で一気に真犯人として八代学が怪しくなってしまいましたね。前回の感想では「八代学はミスリード?」と考えましたが、この5巻の展開から「実は、八代学は真犯人ではなく、他に真犯人がいる」という展開はかなり難しいかな、と思われます。

(追記:学が真犯人ではないとしたら、真犯人の共犯者(情報提供者とか、協力者とか)ですかね・・・。ともかく、1~4巻感想に書きましたが、学が真犯人で単独犯だと、悟の母親が一度リストに載った犯人の名前を忘れてしまうとか、悟・悟の母親が「現代編」で真犯人の顔見たのに、元担任の学と気が付かないという不自然な話になってしまうので、このつじつまをどう合わせるのか?(整形したとか?整形しても目は変えられないので目だけが印象に残るということ?でも、整形だけだと母親がリストの名前を忘れた理由にならないですね・・・)という話になります。)

 

 5巻では八代学真犯人説を補強するものが多く出てきます。(というか、最後の描写で決定的?)

・悟が、加代を隠したバスの話を学にしたら、その後(?)(靴跡を残さないように)犯行道具が持ち去られた。
・悟が、中西彩の後を尾けていたら、タイミングよく学が登場。(その前に母親も登場しましたが、これは学登場の怪しさを薄めるため?)
・「この時はまだ気づいてなかった」「この日のみんなの言葉や行動には」「事件に関わる多くの「ヒント」が散りばめられていた事に。」という悟のモノローグがあるが、「この日」の言動は、ほとんどが学の言動の描写である。(特に「そうだな・・・僕は慎重派だから」「回りくどくなっても まず相手の警戒心を解く所からだな」というセリフは非常に怪しい)
(あとは、ケンヤの「じゃあ俺はその時間 ペーパークラフトの奴の家の前通ってから帰るよ」というセリフは、ケンヤがまだ「ユウキさん」を疑っていることが分かります。)
・「つまり「真犯人」はこの時代でも」「普段はスーツを着てるんだ」
・「これ 僕の車じゃないんだ」
・その他、全般的に学のセリフが怪し過ぎ

 

 今後の展開ですが、八代学が真犯人の場合だと、このまま主人公は殺されてしまうかもしれませんね。その場合、まさかの主人公交代?(「俺はお前の予備(スペア)だ」のケンヤが主人公になって、再上映して悟を助ける?)
 あるいは、過去編でも悟が何かの殺人事件の犯人に仕立て上げられる?(どうやって?誰が殺される?)

 

 

 では、個別の疑問点の追加・訂正です。

Q1 表紙のカバーとカバーをのぞいた本体の表紙の意味は?

A1

5巻
(カバー表紙)・・・悟と加代が手を繋いで走っている。2人とも手袋をしている。悟の手袋は、加代の手編みの手袋(かな?)。
(中扉の表紙)・・・悟と加代が手を繋いでいる後ろ姿。2人とも手袋をしていない。
 やはり、この「手袋をしている、していない」の描き分けは何か意味があるのかな、という気がします。

(本体表紙)・・・何者かが美里の後を尾けている。(やはり、悟の読み通り真犯人の次のターゲットは美里だったことを示す?)


Q2 ケンヤって何者?
A2 
(1~4巻までの考え)ケンヤは子供にしては勘が良すぎ、なぜか事情を色々知っています。おそらく彼も「再上映」している可能性が考えられます。「現代編」でもケンヤは協力者として登場するのでしょうか?
→(5巻を読んでの考え)
 ケンヤは「ユウキさん」を疑っていたんですね・・・。これは、やはり「現代」での報道を知っているからだ、という事になるのでしょうか?ケンヤ「再上映」説の補強になるかと思われます。

 

Q3 なぜ、ケンヤは「ま・・・そうか」「悟は(文集を)読まないよな・・・」と言ったのか?
A3 
(1~4巻までの考え)
① 悟の書いた文集の内容が、今後の鍵になるのでしょう。
② あるいはもしかしたら、悟は文集を書いていないのかもしれませんね。なぜ、悟が文集を書いていないのかというのが今後の鍵になるのかもしれません。
→(5巻を読んでの考え)
 5巻では文集の話は出てきませんでしたので、特に追加はありません。

 

Q4 悟の手袋はどこへ行った?
A4
(1~4巻までの考え)加代が盗んだのかなと思われます。同じ片親育ちであるが母親から愛されている(と思われる)悟のことが羨ましく憎らしかったのだと思います。その反発が悟の手袋を盗んで燃やす行為につながっています。また、その罪の意識が誕生日のプレゼントに悟に手編みの手袋を送ろうとする行為につながります。
→(5巻を読んでの考え)秘密基地に手袋はありましたので、悟が思っていた通り秘密基地に置き忘れたことになります。(他の可能性を色々勘ぐることも可能ですが、とりあえずちょっと保留にします。)

 

Q5 給食費はどこへ行った?
A5 
(1~4巻までの考え)おそらく加代が盗みました。しかし、給食費が盗まれたら騒ぎになることは分かりますので、お金が欲しかった訳ではなく、悟が給食費を盗まれたときにどんな反応をするのかが見たかったのだと思います。
→(5巻を読んでの考え) 真犯人が八代学だとしたら、加代を孤立させるために、加代のコートに学が入れたことが考えられます。